日下部 一司 [クサカベ カズシ]
線の作る三角形の領域に雲が入った。
この場所に来たらこのように見える。
タラの木が二本植わっている。相似形で遠近感を持ってそこにある。
奈良公園にて
枝が伸びる。
耕運機の車輪の跡だ。 大胆に笑っている。
風で揺れた動きの痕跡に時間を想う。
瓦のゆがみと壁の傾きが、雨によるドローイングを見せていた。
手前に樹木が立っていて、後方から光が当たる。 すると壁面に木々の姿が現像された。 自然現像現象だ。 「現像」と「現象」は文字が似ている。
松が横たわっている。 こういう在り方は、松にとって楽なのだろうか。 ベンチのような形になって、人間が休むにはちょうど良い。
マンホールにたまった水と、それに映る風景の様子。
日の傾きで風景が変わる。
歩道の直線と手すりの影がぴったりと重なる時刻。
被写界深度の浅いこういう見え方は写真特有の風景だ。
自動販売機などのような物体が ここに置かれていたと思われる。 最初に何らかの設置物があって、あとから壁の色を塗ったのだ。 図と地が反転し、塗り残し部分が描画部分に感じられる。 無造作な筆タッチがいい感じだ。 緑色の配分が特に良い。
工事壁が美しい。
欠けた円を「病円」というのだそうだ。 レンズは映像を円形に映す。 それをイメージサークルという。 写真は通常この範囲内の画像を四角く切り取る形で提示される。 イメージサークルが小さいと、四角い画面の中で上の写真のようにケラレが生じ周辺が暗くなる。 結像する光の様子が記録された写真のようで、写ることの原初的な感動を追体験できる。 ケラレは写真としての矩形が欠けたことだ。 この欠けた矩形をなんと呼んだら良いのだろう。 病んだ矩形・・・「病矩形」かな・・・。 病んだ、という表現はコロナの時期だけに気にはなるけど。 撮影に使った NEWYI 35mm F1.8 というレンズは大暴れする。 開放で撮ったら、もう手がつけられない。 そういう写りもまた原初的な体験かな。
猿沢池の水面に映る樹木が柳の枝にとらえられた風景。
ここを通ると必ずこの場所を撮影する。 いわゆる「トマソン物件」だ。 色合いと佇まいが美しく、写真にすると また違う存在感が現れる。 被写体は自分に必要な比率の矩形を撮影者に求めているように思う。 写される相手がカメラのアスペクト比を選ぶのだ。
矩形という眼差し
フレームの境界に太陽が来るような撮影を始めた。円形写真で何度か試みている方法だが、矩形ではどのような写真になるのだろう。
こんな写真も飽きてきた。しかし、気になるから撮る。 (インダスター50/3.5)
落書き文字が美しい、と初めて思った風景。
文字がオブジェのようだ。
遊具が遊ぶ (Daguerreotype Achromat Art Lens)
奈良公園のトンネル構図 (Daguerreotype Achromat Art Lens)
無関係が関係を装う。
空に向かって育つ様子。 (SMC PENTAX 1:1.2 50mm)
道をなぞる植物 (HEXANON 50mm F1.7)
野菜工場・・・ベタな形容が似合う場所 (zeiss Jena Biotar 58mm f2)
垂直に垂れる (zeiss Jena Biotar 58mm f2)
田植えが終わって残ったもの。 (CANON MACRO LENS FD 50mm 1:3.5)
対の関係 つい 【対】 一 0(名) ① 二つそろって一組となるもの。そろい。ペア。「―になる」「―をなす」「―の着物」 ② →対句(ついく)に同じ。 二 (接尾) 助数詞。 ① 二つそろって一組になっているものを数えるのに用いる。「蠟燭(ろうそく)立て一―」 ② 衣服・調度などの一そろいを数えるのに用いる。 (CANON MACRO LENS FD 50mm 1:3.5)
ブロックとビール箱の小さな重なり。 ( KONICA HEXANON 57mm F1.2 )
たわし たはし 0【束子】 器物の汚れをこすって落とす用具。古くはわら・シュロの毛などを束ねて用いた。現在は合成樹脂製・金属製などさまざま。 ブラシ 12brush ① 獣毛や合成樹脂などを植え込んだ,ごみを払ったり物を塗ったりする道具。はけ。ブラッシュ。〔「刷子」とも書く〕 ② 絵筆。画筆。 ③ 発電機・電動機で,整流子などに接触して電流を取り出し,あるいは供給するもの。黒鉛などを材料に用いる。
オレンジ色のテントがある。
モランディの空間を見つける。 ( KONICA HEXANON 57mm F1.2 )
ただただ、トマソンと窓である。 ( KONICA HEXANON 57mm F1.2 )
小石の存在も大きい。 ( KONICA HEXANON 57mm F1.2 )
実用と言うよりは視覚が勝る風景。
必然的な傾きの写真を撮ろうと思った。 (Carl Zeiss Distagon 2.8/35)
矩形の中心を探せ。 ( KONICA HEXANON 57mm F1.2 )
ゴームリーの作品に「独立国」というのがある事を思い出した。人体とホースが循環する作品だ。 (Carl Zeiss Distagon 2.8/35)
理由はいくつかあるのだろう。必然がこの形を場所を選んだ。
赤と青を撮ろうと思った。 (Carl Zeiss Distagon 2.8/35)
そして、送電線が垂直に延びている。 (Carl Zeiss Distagon 2.8/35)
枚方まで知人の個展を見に行った。駅で撮ったこの写真が「今日の一枚」だった。 (Carl Zeiss Planar 2/45)
ノートパソコンの上を泳ぐ水鳥の様子。 (Carl Zeiss Tessar 2.8/45)
同じ風景を何度も撮ってしまう。 (NEEWER f=35 1:1.2)
変哲もない風景がファインダー越しで変化する様子。 (NEEWER f=35 1:1.2)